「戦の作法」から歴史ドラマのリアルを知る

「本のご紹介」第5回目の投稿です。

歴史学者の小和田哲男さん監修の「戦国 戦(いくさ)の作法」をご紹介します。

こんな方にオススメ!
  • 歴史好きの方
  • 戦国時代についてよく知りたい方
  • 戦国時代の戦の実態(戦法/武器/生活)について知りたい方
  • 様々な武器の図解が見たい方

ミキ

戦国時代の戦の様子が細部までイメージできて、また意外な事実もたくさん載っていて、オススメです。
小中学校の社会の教材としても、良いのではと思います。

本を読む前に

戦国時代の戦に対して持っていたイメージ

私は学生の頃、歴史が大の苦手だったので、戦、しかも戦国時代の戦については、大河ドラマなどの時代劇で見たイメージそのまま、という感じでした。

他には、「信長を殺した男」というマンガを読んだことがありました。

やはり、鎧を着て、刀を持って、馬に乗って、戦って、領地を奪い合って…というイメージが強かったです。

本の概要

本を読んで心に残ったエピソード*ベスト3*

本書には、たくさんのエピソードが載っていたのですが、私の心に残ったエピソード3つを紹介させていただきます。

第3位 勝負を仕掛ける奇策、牝馬を放つ!?

騎馬隊の軍勢に牝馬を放つと、馬のコントロールが制御不能になるので、敵の戦力低下に一役買ったようである。

ミキ

こんな奇策があったのか!と驚きました。
軍馬が牡馬だということも知らなかったので、おもしろいことを考える人がいるものだなぁと感心してしまいました。

第2位 戦をするかは話し合い(評定)で決められていた

戦国時代の武士たちは、いつも戦をしていた訳ではなく、有事の際に初めて集められて話し合い、戦をするか決めていたのだそう。
勝機がないと判断した場合は、和睦工作や降伏の準備を行った。
戦をする場合は、行軍ルートや敗走ルートなど、作戦を話し合っていたようである。

ミキ

戦国時代というと、戦のイメージが強いですが、戦ばかりしていた訳ではないと分かり、なんだか腑に落ちました。

第1位 誉れ高き「切腹」の起源とは?

切腹の起源は室町時代だが、豊臣秀吉に敗れた備中高松城主の清水宗治の切腹があまりにも見事だったため、それ以降、慣例化したそう。
切腹という行為の背景には、子孫の厚遇を願ったり、自らの命と引き換えに城兵の命を保証してもらうなど、さまざまな目的があったようである。

ミキ

「切腹」は美徳のように語られることが多い印象ですが、この出来事がなければ、ここまで慣例化することもなかったのかなと思うと、複雑な気持ちです。
当時の人々にもいろいろな思いがあって、現代人には考えられないほどの覚悟があったのだろうなと思ったので、いちばん印象に残りました。

気になるポイント

一章 戦の作法

◆流れと戦法
  • 戦国時代の戦には流れがあった
  • 基本の陣形には、魚鱗、鶴翼など様々なものがある
  • 指揮官の指示を伝える道具は、軍配団扇、陣太鼓、狼煙などを距離によって使い分ける
    (近距離→長距離)
◆接近戦の武器(槍・刀・忍具)

  
 *扱うのに高度な技術がいらないため、足軽に歓迎された
 *「突く」のではなく「上から叩く」、「足を払う」のが基本スタイル

 刀 
 *刀の種類は5種類あった(「太刀」、「脇差」、「短刀」など)
 *うっかり手放してしまわないように、紐で手首と鍔(つば)を固定していた

 忍具 
 *「水蜘蛛」を履いての水上歩行は現実的ではなく、簡易的なボートとして用いられていたらしい

◆飛び道具(弓矢・鉄砲・大砲・石)

 様々な飛び道具の長所を組み合わせて、陣の編成が組まれていた。
 戦国時代に使われていた武器のうち、最も敵に損害を与えたのは弓、次が鉄砲。
 3番目は槍、4番目が石、最後が刀だったそう。

 弓矢 
 *扱うのに熟練の技術が必要
 *鎌倉時代は弓矢が主流だったが、戦国時代は扱いやすい槍に移行していった

 鉄砲 
 *戦国時代の鉄砲は「火縄銃」
 *初心者でも扱いやすいが、1回撃つと次弾発射までに20〜30秒かかってしまうのが難点

 大砲 
 *破壊力に優れていた
 *重いために持ち運びが難しく、陸戦ではなく海戦や城攻めに使用されることが多かった

  
 *容易に調達でき、簡単に扱える上に効果が大きい

◆防具(兜・面具・甲冑・楯)

  
 *頭部を防御するだけでなく、オシャレさも重要だった
 *大きな三日月型の伊達政宗、お椀を模した独特なデザインの黒田官兵衛などが有名

 面具 
 *顔面や首を守るための面
 *身分の低い足軽は、簡易的に額のみを守る「額当」が一般的だった

 甲冑 
 *身分や時代の流れによって、様々な形がある
 *実用性だけでなく美術性も重要視された

  
 *地面に固定するタイプの大型の楯「掻楯」が主流だった
 *竹を束ねた楯では、鉄砲の銃弾から身を守ることができた

二章 出陣・進軍の作法

◆軍隊の動き(儀礼・行軍)

 *評定で戦が決まると、兵が集められた
 *出陣前は縁起を担いでいた(出陣前は女性をタブー視!)

◆従軍中の諸問題(食糧・生活・装備)

 *3日分の食料は、さまざまな形で身につけて持参していた
 *飲み物の確保が死活問題だった

三章 裏工作・戦後の作法

◆情報戦略(外交・情報)

 *政略結婚は日常茶飯事(家族は政治利用の武器でもあった…)
 *スパイ活動には、忍者だけでなく商人も

◆戦後の処理(敗者の末路・恩賞)

 *討ち取った首の素性を確認し、武功を決めていた
 *敵の首には化粧が施され、きれいに整えられた

本を読んで

学んだこと

  • リアル(より具体的なこと)を知れば、その時代の人々がどのように考え、感じて過ごしていたかを想像することができる
  • いまの時代と全然違うようなことでも、実は活かせることが見出せる

感想

今まで、時代劇や小説、漫画などで知っていた戦の様子から、一段も二段もリアルなイメージが湧くようになりました。

ドラマの中などで、さり気なく表現されていたことにも、歴史的な背景がしっかりと盛り込まれていたことに気付き、驚きました。

意外なこともたくさん載っていたので、当時のリアルが知れて、本当におもしろかったです。
武器の構造や使い方が本当に詳しく図解されているのも、分かりやすくておもしろかったです。

これを読めば、歴史嫌いの子も、歴史の勉強が好きになれるかも!?
歴史のおもしろさが分からなかった、子供の頃の自分に読ませたいです。。

ミキ

最後までお読みくださり、ありがとうございました!
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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