「教養としての茶道」から日本人の心を学ぶ

「本のご紹介」第1回目の投稿です。

グローバル茶道家である竹田理絵先生の「世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道」をご紹介します。

こんな方にオススメ!
  • 「茶道とは何か」を知りたい方
  • 日本が外国の方からどのように見られているか、知りたい方
  • 抹茶の作り方や歴史について知りたい方
  • 茶道の精神について知りたい方
  • 茶道を始めようと考えている方

ミキ

日本人が大事にしたい「心」がギュッと詰まった一冊です。
「茶道」魅力基本全体像が、初心者にもよく分かってオススメです!

本を読む前に

「茶道」について知っていたこと

茶道については、お茶会の体験に2回、茶道教室の体験に1回参加したことがある程度で、経験も知識もほとんどない状態でした。
映画の「日日是好日」は観たことがありました。

知っていたことといえば、次のような点くらいです。

  • 茶器を傷つけないために、帯留め(着物の場合)は付けない
  • 隣の方に「お先に」と声をかけてから、お菓子やお茶をいただく
  • 薄茶と濃茶がある

また、多少の知識があっても、お茶室ではマゴマゴしてしまい、美しい所作を身に着けるためには相当な訓練が必要だと感じたことを覚えています。

更に、茶道を嗜むためには、お茶だけでなく、書道、お花、着物、建築、など様々な知識が必要だということを知り、敷居が高いものだと感じていました。

本の概要

著者の竹田理絵先生

株式会社 茶禅 代表取締役
グローバル茶道家」として、銀座と浅草にお茶室を構えていらっしゃいます。

茶道歴40年、講師歴25年、世界各地で御点前をされるという華々しい経歴をお持ちの先生ですが、銀座の茶道教室の体験に参加させていただいた折には、初心者の私にも優しく丁寧に教えてくださいました。
落ち着いた雰囲気のとても素敵な方です。

先生から伺ったお話の中で、印象的だったのは、次のようなところです。

  • 「茶道」の中心にある心は「思いやり」。
  • 「茶道」は日常に活かしてこそ。もっとカジュアルに楽しんで良いもの。
  • 「茶道」は、入り口も出口も広い。
    (「茶道」をするきっかけや目的は人それぞれ、「茶道」を通じて他の道へ進むなど出口も人それぞれ)
  • 世界各地で「ゲリラ茶会」を開かれる行動力と、その根幹にある「お茶を広めたい」という心。

思いやり溢れるお人柄に、すっかりファンになってしまいました。

気になるポイント

第1章 外国人が知りたい日本の文化・世界が憧れる日本のおもてなし

外国人の方が日本で一番感動するのは、「日本のおもてなしの心」だそう。
「おもてなし」の語源は「表裏なし」で、「表裏のない心でお客様をお迎えする」という意味。

文化の違う外国の方にも、相手を思いやって準備したことは伝わる。
茶道の「おもてなし」の心は、日常生活で活かしてこそのものである。

第2章 なぜエリートは茶道の虜になるのか

世界のエリートは茶道の精神に魅了された。

  • 余計なもの(複雑なもの・雑念・執着)を捨て、シンプルに考え、一日一日を大切に生きること
    (=禅と茶道が目指すところ)
  • 茶の湯によって己と向き合い、己の内なる声と対話することで心を整えること
  • お客様が今、何を欲しているのかを察知し、柔軟に対応する機転や気遣い

戦国武将にとって、茶の湯は教養であり、ステータスシンボルであった。
当時、茶の湯は、死と隣り合わせの生活の中で心を穏やかにして安らげるひとときだった。
お茶室の入り口(躙り口)は小さいため、刀を外して入らなければならず、お茶室は日常とかけ離れた平和な世界だったから。

第3章 これだけは知っておきたい日本の伝統文化「茶道」

お茶の歴史は、紀元前2700年頃の中国で、薬として飲まれたことから始まった。

日本には、平安時代に留学僧が唐から持ち帰り伝わった後、南北朝時代に庶民にも広まり、安土桃山時代に千利休によって「茶の湯」が完成した。
江戸時代から「茶道」と呼ばれるようになり、明治時代は政界人や財界人にとって「茶道」は必須教養だった。
現在では、世界でも認知されている。

日本で伝統になったが、中国ではこの飲み方は廃れてしまった。

千利休のひ孫の時代に、三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)に分かれたが、「お客様に一碗の美味しいお抹茶を召し上がっていただきたい」という気持ちは同じ。

茶道の精神や言葉には、次のようなものがある。

「茶禅一味」 茶道は禅から誕生し、求める所は禅と同一
「和敬清寂」 和やかに、お互いを敬い、清らかな心で、何事にも動じない
「わび・さび」
 「さび」 時間の経過と共に色あせて劣化することで出てくる味わいや趣ある美しさ
 「わび」 「さび」の味わい深さを美しいと思う心や内面的な豊かさを表す
「一期一会」 二度とないこの瞬間を大切にすること
「身心一如」 身と心は一つであり、心が乱れたときは、身体を整えれば心も整う
「一座建立」 招く方(主)と招かれる方(客)が一体となって座を盛り上げ、お互いを思いやる心を持ち、双方の息が合ってこそ、茶会が成功する

第4章 ビジネスや日常に活かしたい千利休七つの教え(利休七則)

「利休七則」とは、千利休が残した茶の湯の七つの心得。
知っていることとできることは別物であり、当たり前のことを実践する難しさが込められた逸話もある。

  • 茶は服のよきように点て(気配りの大切さ)
  • 炭は湯の沸くように置き(準備の大切さ)
  • 花は野にあるように生け(自然体でいること)
  • 夏は涼しく冬暖かに(相手を思いやる心)
  • 刻限は早めに(時間に余裕を持つ、気持ちにゆとりを持つ)
  • 降らずとも傘の用意(不慮の事態に備える)
  • 相客に心せよ(お互いに尊重し合う)

第5章 知っていると一目置かれる、日本人としての品格

茶道は日本の総合伝統文化とも称される。

その所以は、茶道には、書道(掛け軸・禅語)、華道(お花)、香道(お香)、着物、懐石(和食・和菓子)、建築(茶室・庭園)、お道具(陶芸・漆器)が凝縮されていることから。

第6章 知っていると自信が持てるお茶会の作法ー楽しむための知識ー

お茶会に招かれたら、白い靴下を持参し、きちんとした服装(スーツやワンピースなど)で出席する。
(靴下は、お茶室に入る直前に履き替える。)
お道具を傷つけてしまうため、アクセサリー類は外す。
また、香水も控える。

お茶室に入ったら、床の間の掛け軸やお花を拝見する。
(掛け軸には、お茶会のテーマが表現されている。)

お茶をいただく前に、お菓子を全ていただく。
(コーヒーや紅茶のように、お茶とお菓子を交互にいただくことはしない。)
飲み終わった茶碗も拝見する。

お茶をいただく前、いただいた後に、お茶碗を回すのは「お茶碗の正面(美しい絵柄)に口をつけては申し訳ない」という謙遜の気持ちから。

本を読んで

学んだこと

  • 茶道が禅の考えに基づいているということ
  • 日常生活や会社生活にも活かせる「一座建立」という考え方
  • 心が疲れた時に意識したい「身心一如」という考え方
  • 「利休七則」の当たり前だけど実践するのは難しい心得

一点集中!実践したいこと

  • 忙しい日々の中でも心穏やかに過ごす時間を作る

感想

「茶道で一碗のお茶をいただくと、喉の渇きだけでなく、心の渇きも潤すことができる。」という言葉が、「茶道」の精神性を表しているように感じ、最も印象的でした。

中国から伝わったお茶ですが、元の中国ではその飲み方は廃れて、日本で残って文化となっていることが興味深かったです。
着物(呉服)の歴史も、近いものがあるのかもしれませんね。

欧州などでは、小中学校で自国の文化を学ぶため、自国の文化をしっかり語ることができるのだそうです。
日本はそうした機会が少ない(=自国の文化を語ることができる人が少ない)ことが残念だと思いました。
そういう私も自信がないので、これからも少しずつ日本の文化を勉強していけたらな、と思います。

また、日本では四季があること当たり前ですが、四季があったからこそ、季節を楽しむ心が生まれ、日本の文化になってきたのだと、改めて感じました。忙しい日々の中では、季節の移り変わりに心を寄せることは少ないですが、もう少しだけ、「日本の四季」を感じていきたいと思います。

まとめ

  • 茶道の精神(禅)には、世界のエリートも学ぶほど、日常やビジネスに活かせることがたくさんある!
  • 茶道の所作(決まりごと)には、ちゃんと理由がある!
  • 日本人が気付いていない日本の良さがたくさんある!
ミキ

最後までお読みくださり、ありがとうございました!
気になった方は、ぜひ読んでみてください。
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